日本ライトハウス全国ロービジョンフェア2022について

[2022年11月配信]

今回は、10月28日(金)、29日(土)にOMMビルで開催された「日本ライトハウス全国ロービジョンフェア2022」に行ってきましたので、その内容を紹介します。
 

私は初日の28日(金)に行き、様々なブースを見て回りました。その中でも私が特に興味を持った3点について紹介します。
 

一つ目は、株式会社Ashirase(アシラセ)です。ここでは、視覚障がい者向け歩行ナビゲーションシステム「あしらせ」が展示されていました。

「あしらせ」は、靴の中に挿入したインソール型デバイスとスマートフォンを連動させ、スマートフォンから得た地図情報を靴の中のデバイスに振動で伝えるナビゲーション機器です。

6月に開催されたバリアフリー展では、機器本体を触らせていただきましたが、今回は、実際に靴の中に機器を入れ、道案内を体験することができました。
 

Googleマップで目的地をセットし、道案内を開始します。両足の甲が振動し、道案内が開始されることが伝えられます。後は、靴の中のデバイスから道案内が行われるので、ここでスマートフォン はカバンの中などにしまいます。

前へ進むときはつま先、後ろへ進むときはかかと、右へ曲がるときは右足の右側、左へ曲がるときは左足の左側がそれぞれ振動します。

曲がり角が近づくに連れ、曲がる方の足の振動速度が早くなるなど、音声ガイドがなくてもスムーズに歩くことができます。

振動は比較的はっきりしており、曲がり角などの重要なポイントでは、繰り返し振動で知らせてくれるので、見逃す心配がないように思います。
 

使いこなすには、事前にチュートリアルなどで振動パターンについて学習する必要がありそうですが、比較的わかりやすく作られているので、すぐに慣れそうです。また、道案内をしている際にスマートフォンを手に持つ必要がないというのも魅力的です。

今回初めて「あしらせ」を体験し、これを使用して行ったことのない道を歩いてみたくなりました。
 

二つ目は、株式会社コンピューターサイエンス研究所です。

ここでは、視覚障がい者歩行支援アプリ「Eye Navi(アイナビ)」が紹介されていました。

「Eye Navi」は現在開発中のアプリで、AI(人工知能)を使用し、電信柱などの進路上の障害物の検知、点字ブロックなどの目標物の検出、歩行者信号などの色の伝達などを行うiPhone向けに開発されたアプリです。
 

会場では、画面に映し出された信号の色の認識や点字ブロック、横断歩道、人の検出などの画像認知機能を体験することができました。

「歩行者信号は青です」「前方に点字ブロック」「前方に人」のように必要な情報を音声で知らせてくれます。

会場では、試すことができませんでしたが、実際の道では、何メートル先に人がいるのか教えてくれるそうです。

特に私が便利だと思った機能は、横断歩道をまっすぐ歩いているのか、横断歩道からはみ出して歩いているのかを教えてくれる機能があることです。

短い横断歩道であれば、比較的まっすぐ歩けますが、長い横断歩道はまっすぐ歩くことが難しいため、この機能は非常にありがたいと思いました。

このアプリは、初めて歩く道だけでなく、普段歩きなれている道をより安全に歩くことができるとても便利なアプリだと思いました。リリースされる日が待ち遠しいです。
 

三つめは、リンクス株式会社です。ここでは、駅構内に設置された点字ブロックの警告ブロックに表示されたQRコードをスマートフォンのカメラで読み取ることで目的地までの道案内をするアプリ「shikAI(視界/シカイ)」が紹介されていました。現在、東京メトロ銀座線の外苑前駅や千代田線の明治神宮前駅等東京メトロの9駅に導入されており、関西でも導入を検討しているそうです。

会場では、仮設の点字ブロックにQRコードを貼り、リンクス株式会社のブースから他のブースまでの誘導体験ができました。

スマートフォンで点字ブロックの警告ブロックに貼られたQRコードを認識すると、行き先選択画面が表示されるので、行き先を選択し、道案内を開始します。スマートフォンで点字ブロックを映しながら歩いていくと、警告ブロックがある度に自動的にQRコードを読み取り、「まっすぐ進む」「右へ曲がる」などの支持が流れます。道を間違った際も適宜案内があるので、安心です。指示通りに歩き、目的地のブースに到着したときは、とても嬉しかったです。

道案内をスタートさせるには、まず点字ブロックを見つけなければなりませんが、一度点字ブロックを見つけるとスムーズに道案内されるので、初めての駅でも駅員さんにガイドを頼むことなく、一人で移動できると思いました。こちらも大阪の駅に導入される日が待ち遠しいです。
 

上記以外にも点字ディスプレイや拡大読書機、音声読み上げソフト、生活グッズ等様々な商品が展示されていました。
 

コロナ禍で会場での開催は3年ぶりでした。実際に会場に行き、機器などに触れ、体験し、直接担当者と話をすることは、オンラインでは味わえない臨場感がありました。機器や用具に触って使い方を体験して感じること、直接担当者から話を聞いて分かること、改めて会場での展示会の魅力に触れることができました。
 

最後に、今回のライトハウス展の一部を写真でご紹介します。

ご興味のある方は、下記のサイトからご覧ください。

http://www.itsapoot.jp/mailmaga/lighthouse2022.html
 

【記事紹介企業URL】

・株式会社Ashirase(アシラセ) 歩行ナビゲーションシステム「あしらせ」

 https://www.ashirase.com/
 

・株式会社コンピュータサイエンス研究所 歩行支援アプリ「Eye Navi(アイナビ)」

 https://www.computer-science.co.jp/website/eyenavi/
 

・リンクス株式会社 道案内アプリ「shikAI(視界/シカイ)」

 https://www.linkx.dev/shikai
 


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