地域インタビュー 泉大津市(フレッジ)

大阪府ITステーションでは、登録されている大阪府ITサポーター(パソコンボランティア)を大阪府内の市町村などで開催されるパソコン講習会(初級レベル)に講師派遣し、ITスキル取得・向上のための支援を行っています。

今回は、泉大津市にある就労移行支援事業所フレッジで行われているパソコン講習の見学と、施設担当者、パソコン講習を受講されている受講者(2名)、ITサポーターのTさんにインタビューをしましたので、その内容を紹介します。

 

フレッジでは、主に精神障がいのある方や発達障がいのある方を対象に 就労支援を行っています。
パソコン講習は初心者向けに2週間に1回2時間設けられています。
 

私が訪れた時間帯はちょうど受講者の方がITサポーターのTさんの指導の下、講習を受けられているところでした。
さっそく講習の雰囲気を見学させていただきました。
 

講習は、分からないところを講師に質問する自習形式で行われ、Wordでビジネス文書を作られている方、Excelで数式を入力されている方など、4名の方がそれぞれのスキルに合わせて自分のペースで学習を進めていました。
 

「文字の下に下線が引かれているのですが、これは何ですか?」
Wordを使って文書を作られている方から質問が出ました。 「入力を間違えると、『この言葉はおかしいのでは?』とWordが疑問に思い、その単語の下に赤線が自動的に引かれるんですよ。」
Tさんが柔らかな口調で質問に答えられていました。
 

「これで出来上がりです!・・・ では、意地悪をして元に戻しましたので、もう一度ご自身で取り組んでみてください。」
受講者に操作方法を身につけていただくために、一度一緒に行った操作は再度受講者一人で行っていただくように促されていました。
「これで合格です!」
完成すると優しくねぎらいの言葉をかけられていました。和やかでアットホームな雰囲気の講習です。

 

続いて施設担当者にお話を伺いました。
フレッジでは、以前にもITステーションのITサポーター派遣事業を利用されていたそうで、講師の方の指導がわかりやすいという利用者からの声があったこと、就労を目指すにはITスキルを身につけることが必須であること、せっかく学ぶのであれば専門的な知識や指導経験を持った方から学ぶ方が利用者のためになることなどにより、再度ITサポーター派遣事業を利用されることにしたそうです。
 

「専門的な知識を持った講師の方に講習をしていただけることは施設としてもありがたいことですし、何より、パソコン講習の教材やパソコンを利用した試みなどについても相談に乗っていただけるので、大変心強いです。
講師の方が丁寧に指導してくださるので、パソコンがあまり得意でなかった方がExcelで関数を使って計算ができるようになるなど、利用者のパソコンスキルが上がってきているのを肌で感じています。パソコン講習でスキルを高めることが利用者の目標になっています。」と嬉しい話をしてくださいました。

「事務職を希望される方は少ないのですが、作業系の仕事でも簡単な入力作業などがあるため、少しでもパソコンに触れていれば、可能性が広がると思います。これからも宜しくお願いします。」

 

フレッジでは、今後、パソコン講習を受けられた方に施設のお便りなどを作ってもらうなど、利用者が身につけられたスキルを活かせる方法を考えられているそうです。

 

講習を受けられている受講者の感想はいかがでしょうか。
今回は2名の方がインタビューに協力してくださいました。2人とも就労するにはITスキルを身につける必要があると考えられ、キーボード入力から学習を進められ、現在は、Wordを中心に学ばれているそうです。

「先生の指導はとても分かりやすいです。初めは緊張して自分から質問することができませんでしたが、今は少し慣れて自分から手を上げて質問できるようになりました。」
「パソコンは苦手なのですが、分かってくると面白いです。テキストの説明だけでは分からないところなどを先生が私たちの立場に立って、かみ砕いて分かりやすいように説明してくださるので、本当にありがたいです。」
とそれぞれ講習の感想を話してくださいました。
 

そんな2人の目標は何でしょう。
「パソコンについては、早く正確に文字入力ができるようになりたいです。それから、パソコンとは関係ありませんが、コミュニケーションスキルを磨き、スムーズに会話ができるようになりたいです。」
「まずは基礎をしっかりと学び、身につけて積み上げていくことが大切だと思っています。それから手書きではなく、パソコンを使って資料などを作れるようになり、将来はパソコンでの資料作りを任されるような人材になりたいと思っています。」
 

少し緊張しながらも自分の目標を話された2人の姿がとても印象に残っています。
 

最後に声をそろえてITサポーターのT先生にメッセージをくださいました。
「先生、いつもありがとうございます。感謝しています!」

 

続いて、ITサポーターのTさんに話を伺いました。
Tさんは6、7年ほど前に何かボランティア活動ができないかと考えていたところ、たまたまあるメールマガジンに大阪府ITサポーター養成研修の案内が掲載されているのを見つけられ、研修を受け、ITサポーターとして登録されたそうです。
「それと、ずいぶん昔の話ですが、アフリカの貧しい国で活動していたことがあり、使わなくなったパソコンを現地に持って行きました。そこの人たちはパソコンなんて買えませんから、見せたら感心されて…。WordやExcelをポチポチ教えてあげたら、みんなに喜ばれたんですよ。それもあってITサポーターとして活動しようと思いました。」
 

「年齢を重ねるにつれ、社会とのつながりがだんだん薄れていくといわれているので、ITステーションや地域(フレッジ)での活動は社会と繋がることのできる貴重な場です。こうしてITサポーターとして活動していることが、自分自身への励みにもなっています。各受講者の特性を把握し、負担にならないようにその人に合った方法で講習を行うように心がけています。
受講者の方から『パソコンを使えるようになりたい』という熱い思いが伝わってきますし、それにこたえていきたいと思っています。就労を目指してパソコン講習を受けられている方もいます。特にその方々には実践で使えるレベルまでしっかり習得していってほしいと思っています。
パソコン講習を通じ、受講者の就労の懸け橋になれたらうれしいです。」とITサポーターの活動に対する思いを話してくださいました。

 

インタビューを通じ、ITサポーターのTさんがやりがいを持って講習に臨むことで、受講者も刺激を受け、それぞれの目標に向かって自分のペースで1歩ずつ前へ歩んで行っている様子をうかがうことができました。
地域でのパソコン講習は、ワードやエクセルを学びたいという受講者、そして受講者のお手伝いをしたいというITサポーター双方のニーズをマッチさせる場でもあるのだなと改めて思いました。

 

今回もインタビュー風景や講習の様子の写真を掲載しています。
ご興味のある方は下記URLにアクセスしてご覧ください。

http://www.itsapoot.jp/mailmaga/interview202401.html

 


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