[2026年04月配信]
※今回のレポートは長文となります。
理解を深めるために関連画像を納めたページをご参照ください。
http://www.itsapoot.jp/mailmaga/barrierfree2026.html
今回は、4月15日(水)から17日(金)までインテックス大阪で開かれていたバリアフリー展2026に行ってきましたので、その内容を紹介します。
今年も3号館・4号館・5号館の3つのエリアを使用して開催されました。
3号館では、車いすなどの移動機器、福祉車両、交通バリアフリー関連、介護用リフト・昇降機などが、
4号館には、介護テクノロジー関連(主に事務処理を行うソフトウェア)、ベッド・マット・トイレ・入浴などの介護関連設備、住宅・施設関連製品、人材育成関連(専門学校などの紹介)などが、
5号館には、健康増進・介護予防製品、栄養ケア・口腔ケア関連製品、リハビリ・ヘルスケア製品、コミュニケーション機器、自助具、福祉関連図書・文献、などが展示されていました。
今回は、福祉にかかわるブースが多く出展している5号館を中心に見て回りました。
入り口に入るとすぐに日本ライトハウス情報文化センター エンジョイ・グッズサロンのブースがありました。
ここでは主に4つの製品を見ました。
始めに目にしたのが株式会社日本テレソフトのブースに展示されていた「ブレイルドゥードル」です。
40cm四方ほどの大きさの板で表面と裏面の双方に等間隔で穴があけられています。表面には点字が書けるように6点のます(縦3・横2)がぎっしりと並べられています。各穴にペン先に磁石が埋め込まれている付属のペンを差し込むと小さな丸い突起が浮き出てきます。
この浮き出た突起を点字の一つの点ととらえ、点字が書けるようになっています。浮き出た突起をもとの位置に戻すには、突起部分を指先でぐっと穴の中に押し込みます。
一つの点が点字の何倍もあり、文字を読み書きする道具として使うには不向きですが、点字に親しんでもらう、または、点字の仕組みを知ってもらうものとして魅力的だと思いました。
また裏面には、等間隔で穴があけられており、ペンの先でその穴を軽くなぞると小さな丸い突起が浮き出てきます。こちらは点字の体系にとらわれず、線や絵を自由に書くことができます。
そこで同行していた絵の上手なITステーションの職員に絵を描いてもらい、触ってみました。リンゴを書いてくれたようですが…、私の指先で認識するのはちょっと難しかったです。
特別な紙などを用意することなく、簡単な記号や絵、地図などを書いてもらい、手で触れて確認できるので、物の形状などを知りたい時に気軽に使えて便利そうだと思いました。
このブレイルドゥードルは輸入品とのことですが、現在の世界情勢の影響を受け、今のところ日本での販売の目途が立っていないとのことでした。
二つ目は同じく株式会社日本テレソフトから発売されているドットパッドを見に行きました。
平たい板の上に横40縦60の点字の点が表示されているもので、パソコンと接続することで、図形や漢字・記号などを点で表示することができるものです。
試しに「桜」の漢字の形を触らせてもらいました。生まれつき見えない私は点字で学習をしてきたため、漢字の形を知りません。「桜」は「木」と「ツ」「女」という漢字が組み合わさっていることを初めて知りました。
中途失明者には、以前目で見ていたものを触るという新鮮さを味わえるものとして、先天的に見えない人にとっては、漢字などの学習ツールとして役立つと思いました。
三つ目に株式会社インテックで展示されていたポケットボイスマルチクロックを見に行きました。時計、照度、タイマー、歩数計、アラームの機能が搭載された四角いボックス型の時計です。
中でも私が注目したのは盲ろう者向け機能です。
音や視覚による情報収集が難しい盲ろう者のために振動で情報を伝えられるように設計されています。
例えばモード選択ボタンを押し、1回振動すると時計、2回振動すると照度などのように振動回数でモードを選択します。
日付・時刻の確認では時間、分の10の位、分の1の位、日付・曜日の4つのボタンを押して確認します。
例えば、16日(木曜日)の11時21分の場合、時間を確認するボタンを押すと、5を表す長い振動が2回と1を表す短い振動が1回あります。
5×2+1で、11時となります。
分の10の位を確認するボタンを押すと2回軽く振動します。
分の1の位を表すボタンを押すと、1回振動します。これで、21分ですね。
最後に日付と曜日を表すボタンを1回押すと5を表す長い振動が3回と1を表す短い振動が1回ありました。5×3+1で16となり16日を表します。
続いてこの日付と曜日を表すボタンを素早く2回押すと、短い振動が4回ありました。月曜日を1とし、4回だったので木曜日を表しています。
モードの選択や各モードで伝えられる情報がすべて振動で行われるため、まるで暗号のようで覚えることが大変ですが、確実にわかる方法で情報が得られるという点が魅力的です。
さらに、この時計には防犯ブザーが取り付けられており、本体左側面に取り付けられている丸い金具を引っ張ると100デシベルの音が流れるようになっています。
1台でマルチな機能性。複数の機器をもち歩く必要がないところが魅力的です。
四つ目はシナノケンシ株式会社のブースで近日発売予定のプレクストーク3プラスとiOS用アプリ プレクストークリーダーを見ました。
卓上型のプレクストーク3プラスは、現行のプレクストーク3の機能に加え、新たに、ラジコの再生、点字ファイルの読み上げ、テキスト文章の読み上げ音声の拡充などの機能が加わったそうです。
また、バッテリー使用時間の延長、メディアごと(CDや本体内蔵メモリーなど)の図書選択機能、5GHzのWi-Fiにも対応など、いくつかの機能改善も含まれているそうです。
さらにアプリをダウンロードすることで、iPhoneなどと連携して、図書を持ち歩くことができるようになります。
iOSアプリ プレクストークリーダーは、サピエ図書館(視覚障がい者および視覚による表現の認識に障がいのある方々に対して点字や音声録音図書などを提供する情報ネットワークサイト)からの図書のダウンロードと再生、ダウンロードした図書の管理など、プレクストークで行える機能がほぼそのまま備わっているアプリです。
体験としてプレクストーク3プラスとプレクストークリーダーを連携させ、プレクストーク3プラスに入っている図書をiPhoneに移動させる操作をさせていただきました。
操作はシンプルで、プレクストーク3プラスとプレクストークリーダーを同じWi-Fiにつなぎ、プレクストークを連携モードに設定します。その後アプリの指示に従ってプレクストーク内の図書をコピーする項目を実行することで、あっという間に図書のコピーが行えました。
図書をコピーすると同時に図書の再生履歴もコピーされるため、プレクストーク3プラスで図書を聞いていれば、その続きからプレクストークリーダーで図書を楽しむことができます。
プレクストークリーダーの使用は、プレクストークの操作性を反映しており、プレクストークユーザーにとっては分かりやすい設計になっています。音質もプレクストークに近く、聞き心地も快適です。
プレクストーク3プラスとプレクストークリーダーは6月ころに発売予定とのことです。
続いて、重度肢体不自由者向け機器を見に行きました。
日本支援技術協会と大阪作業療法士会(ICT活用支援推進委員会)が出展している みんなのデジタルアクセシビリティ・スイッチ広場に行きました。
「遊ぶ」「学ぶ」「働く」「くらす」の四つのテーマで展示が行われていました。
「遊ぶ」のコーナーでは、視線入力や外付けスイッチを使ったゲーム機器の操作方法が紹介されていました。
例えば、任天堂スイッチやプレイステーション、Xボックスなどに外付けでスイッチを付けることにより、手足の動作が制限されている方が自分のやりやすい方法でゲームを楽しめるようになるそうです。
また、同じく外付けスイッチを使ったものとして、iPadなどのタブレットにスイッチをつなぎ、動画を閲覧したり、Webページを検索したりする方法などが紹介されていました。
このほかにもスマートスピーカーを使った家電の操作、タブレットに備え付けられているアクセシビリティー機能などが紹介され、それぞれ体験できるようになっていました。
身の回りにあるデジタル機器の設定を少し変えることで、また、外付けスイッチを使うことで、手足の動作に制限のある方が自分で情報収集や発信ができたり、ゲームなどの娯楽を楽しんだりと、有意義な生活ができることがわかりやすく展示されていました。
次にアクセスエール株式会社のブースに行きました。
ここでは5月初旬にリリース予定のiPad用アプリ ファインチャット for iPadが紹介されていました。
ファインチャット for iPadは意思伝達装置ファインチャットの機能をほぼそのままiPadで使えるようにしたものです。
重度四肢障がいと言語障がいの両方に障がいのある方がコミュニケーションを取れるように開発されました。主な機能として、わずかに動かせる体の部位を使い、外付けした一つまたは二つのスイッチを使うことで文章を作成、作成した文章の読み上げなどがあります。
また、作成した文章を読み上げる声は、合成音声、ファインチャットfor iPad専用のオリジナルの肉声、自分の声などから選択することができます。
さらに「おはよう」「ありがとう」「暑い」などの使用頻度の高い単語をあらかじめ登録することができ、入力する手間が省けます。
そして、iPad版の最大の特徴が、iPadの画面を2分割にしてファインチャットfor iPadとLINEの画面を並べると、ファインチャットfor iPadで作成した文章をLINEに貼り付けることができることです。
これにより、家族や友人などとラインを通じてリアルタイムで会話を楽しむことができます。
常に重度四肢障がいのある方と向き合ってこられた松尾社長の熱い思いが詰まっているアプリです。
最後に兵庫県立福祉のまちづくり研究所のブースに行きました。
ここでは現在開発中の「カオリモ」が紹介されていました。
カオリモは、iPadに搭載されているヘッドトラッキング機能(顔の動きを検知する機能)を使い、画面上に表示されている「ナースコール」や「エアコン」「照明」などの機器を操作するものです。
頚髄損傷などで首から下が動かせない人にとっては便利なアプリになりそうです。
また、以前本レポートで紹介した「なび坂」アプリがテスト公開されているとの情報もいただきました。
バリアフリー展では、ブースでの展示以外にセミナーも開催されています。
今回私は視覚障がい者向けのiOS用AI画像認識アプリ「スイフトアイ」の開発と展望についてのセミナーを聞く予定でしたが、急遽登壇者が来られなくなったため、その代わりに行われたiOS用AI画像認識アプリの紹介のセミナーに参加しました。
AI画像認識アプリは、撮影した写真や画面上に映し出された風景をAIが分析するものです。セミナーではスイフトアイとGoogleのAIシステムGeminiが紹介されました。
スイフトアイは視覚障がい者が開発したアプリで、写真に映し出されている情報をAIで分析し、細かく説明してくれます。説明が不十分な場合は、追加で質問することもできます。活用事例として、冷蔵庫内のものの整理や飲食店のメニューの読み上げに使う方法が紹介されました。
また、GoogleのAIシステムGeminiでは、Geminiライブを使用し、印刷物の読み上げ、情景の説明の活用事例が紹介されました。
いずれのアプリも情景を詳細に説明してくれます。
AIを活用することで今まで他人の目に頼っていたことが一人でできるようになり、生活の質が随分向上してきました。
AIが日常生活において欠かせない存在となっていることを改めて感じました。
バリアフリー展全体では看護や介護の分野のブースが多く出展しており、専門学校生がたくさん見学に来ていました。このような機会を通じ、若い学生の方々にも福祉用具や機器に触れてもらい、興味・関心を持ってもらえるきっかけになればと思いました。
ただ、今回のバリアフリー展には聴覚障がい支援に関する展示がほとんど見当たりませんでした。
今後は、多様な障がいに関する展示があればよいと思いました。
本文は以上です