大阪府ITサポーターインタビュー

― 受講者と共に楽しい講習を ―

[2025年2月配信]

大阪府ITステーションでは、大阪府ITサポーター(以下「サポーター」)を養成し、ITステーション内で開催される就労支援IT講習、大阪府内の市町村等で開催される地域講習、重度障がい者への支援など、様々な場で活動していただいています。
今回は、15年以上にわたりサポーターとして活動されているMさんにサポーターの活動や魅力についてお話を伺いました。

 

「こんにちは。」明るいやさしい声で受講者にあいさつするところからMさんのサポートが始まります。
受講者の方とコミュニケーションを取りながらゆっくりと丁寧に講習を進めて行きます。
Mさんは、何か役にたてることがあるのならという思いからサポーターに登録されたそうです。
「もともとはアナログ人間なんですよ。刺繍など手先を使った作業が好きで、パソコンは苦手でした。
でも、パソコンは誤字があればすぐに削除できます。
また、知りたいことなどを簡単に調べることもできます。
それ以外にも便利な機能がたくさんあります。
そういったIT機器の便利さを伝えられたらと思っています。」(Mさん)

 

長年サポーターとして活動を続ける中で、IT技術の進化と共に知識を深めていき、
それを受講者に伝えることに魅力を感じ、今まで活動を続けられています。

 

大阪府内の市町村等にある施設内で開かれる講習などを担当するときには、
季節や地域の話題、受講者の興味のある事柄などを教材に取り込み、受講者が楽しみながら学べるように工夫されています。

「真夏にお花見の案内文を作ってもいまひとつ実感が湧きませんよね。
せっかく勉強するなら、楽しみながら学んでいただきたいと思っています。
文章には興味がわかないけれど、絵には興味があるなら、図形を描き、組み合わせて絵にしていきます。
そのときに、コピー・貼り付けの練習を組み込んだりしています。工夫をすればいろいろなことができると思います。
教材を工夫することで私自身も楽しみながら取り組むことができています。
まずは教える立場にいる私が楽しまないと、受講者も楽しめないと思います。」(Mさん)

 

多方面で活動されているMさんは、ITステーションの依頼で重度障がい者への支援にも取り組まれ、
手の指がわずかに動かせる方へのWordの基本操作の指導を約3か月間行われました。

その方は、指を動かせる範囲が限られているので、ノートパソコンのタッチパッドを指でなぞりながら
画面上に表示されているキーボードのキーをクリックすることで文字を入力されていました。
また、紙のテキストのページをめくることが難しいので、電子テキストをパソコンの画面上に表示しながら学習を進められていました。

「その方の動作を見ていると、
タッチパッドを使用して画面上のキーボードから文字を入力する操作が必ずしもやりやすいという訳ではないように思いました。
そこで、手で押せる文字キーがあれば、パソコンのキーボードを使って入力する、
固定キー機能を使って入力したほうが操作しやすいときは固定キー機能を使うなど、いくつかの方法を紹介しました。

どのようなときにどの方法で操作すれば楽にパソコンを使えるのか。
それはご本人しかわかりませんが、方法を知らなければ、選択の余地がありませんよね。
その方が楽に操作できるように自分で選べたらいいなぁと思いながら、
その場にあった最適な操作方法を紹介するように心がけていました。」(Mさん)

 

他にもパソコンで電子テキストを表示しながらWordの操作をすると、
Wordの画面の幅が狭くなり、文字が読みづらく、スムーズに作業ができなくなることから、
必要に応じてテキストの重要なポイントのみを画面の端に表示して受講者がスムーズに学習できるように取り組まれていたそうです。

「学習時間が限られていますから、効率的に学べるように環境を整えることが大切です。
私も自宅で何度も練習し、きちんと操作できるか確かめてから講習に臨んでいました。
準備は大変ですが、今まで苦労していた作業がスムーズにできるようになって喜ばれている受講者の姿を見ると嬉しくてなりません。
少しでもお役に立てたと思うと、サポーターとして活動していてよかったとやりがいを感じます。」(Mさん)

 

受講者のことを考え、一人一人の気持ちを汲み取りながら丁寧にサポートされているMさんですが、過去に苦い経験をされたそうです。

ある講習でのこと。受講者から聞かれた質問に対して一番簡単な操作方法を紹介したところ、
「その方法で操作したら他の先生に怒られたから、別の方法が知りたかったのに」と立腹され、その方は教室を出て帰ってしまったそうです。

「何も考えずに一番簡単な方法をお伝えしようと思ったのですが…。それは、私の思い込みでした。
その方の要望をしっかりと聞いていれば、怒らせることはなかったと思います。
それからは、各受講者の話をじっくりと聞き、その方が何を求めているのか、どのようにサポートするのが良いのか、
考えながらサポートするように心がけています。」(Mさん)

 

サポーターも受講者もお互い人だからこそ、難しいこともあるでしょう。
しかし、受講者ができなかったことができるようになったときの喜びなど、人と人が接するからこそ得られるものもあります。

Mさんをはじめ多くのサポーターの方々のおかげでITステーションの講習や支援は成り立っています。

Mさんの話を聞き、改めてサポーターの皆さんの努力と温かさに感謝の念が深まりました。

 

今回もインタビュー風景を紹介しています。ご興味のある方は下記URLをご参照ください。
http://www.itsapoot.jp/mailmaga/interview202502.html

 


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