[2025年12月配信]
水害、地震、火山噴火など、災害発生時には正しい情報を一早く手に入れ、速やかに行動する必要があります。
今回は位置情報をもとに現在地の天気や災害情報、緊急避難情報などを知らせてくれるアプリ、「特務機関NERV防災アプリ(以下、「NERV防災アプリ」という)」を紹介します。
「特務機関NERV」は、アニメ「エヴァンゲリオン」に登場する敵(使徒)の襲来に対処する組織名に由来します。
現在は、同作品シリーズの著作権を管理する株式会社グラウンドワークスから、「公認・非公式」という形で名称使用の許諾を得ているそうです。
NERV防災アプリは、さくらインターネット株式会社が100%株式を保有するゲルヒン株式会社(東京)が作成・運営しているアプリです。
利用者の現在地や登録地点に基づき、地震、津波、噴火、特別警報の速報や洪水や土砂災害などの防災気象情報が配信されるサービスです。
アプリから提供される情報は気象庁本庁舎と大阪管区気象台からの情報に基づいています。
アプリのダウンロードおよび利用は無料で、アプリ内に煩わしい広告表示などもありません。
有料のサポータークラブ会員になると、月額250円、または、480円(プランによって異なる)を支払うことで、新機能を一早く試せる「アーリーアクセス」、現在地の雨雲接近通知、登録地点数の増加などの機能を利用することができます。
今回は無料で利用できる機能を紹介します。
このアプリの特徴は、下記に上げるようなインクルーシブデザインになっていることです。
①iPhoneの画面読み上げソフトのVoiceOverに対応
②弱視者などに対応した画面表示の反転表示設定
③色覚障がい者に対応した色のコントラストの設定
④海外の人にもわかりやすいよう英語表示設定
ここでは、①~③の画面の見やすさやVoiceOverでの使いやすさについて紹介します。
アプリを起動するとホーム画面が表示され、上から現在地、登録地点の一覧、日本全般の天気概要が表示されています。
その下には現在地と各登録地点の天気予報が一覧で表示されています。
画面下部には、各画面共有のメニューボタンが五つ配置されています。メニューボタンは左から「ホーム」「タイムライン」「マップ」「天気予報」「メニュー」が並んでいます。
アプリの表示色の設定など、各種設定は右端にある「メニュー」からおこないます。
メニューを開くと、上から「登録地域」「サポータークラブ入会案内」「サポーター会員クレジットコード」があり、その下に各種設定項目が表示されています。
設定項目は上から「言語」「表示」「通知」があり、その下に「このアプリについて」の項目が並んでいます。
アプリの表示に関する設定を行うには、「表示」を選択して開きます。
表示設定には、「テーマ」「配色設定」「文字設定」「スクリーンリーダー用のレイアウト」の四つの項目があります。それぞれ順番に紹介します。
テーマ設定では「ライト」(白地に黒文字)、「ダーク」(黒地に白文字)、「デバイスのテーマ設定に合わせる」の三つの項目があり、個々の見やすさに合わせて選択することができます。
色覚特性では、「C型標準」(初期設定)、「P型・D型色覚」(赤と緑が見分けにくい方むけ)、「T型色覚」(青と黄色が見分けにくい方むけ)から選ぶことができます。
コントラストは「低い」「標準」「高い」から個々の視力に合わせて調整できます。
また、文字の太さも0%から100%の間で7段階に調整することができ(デバイスにより調整の段階が異なる場合があります)、弱視者にも見やすい環境に整えることができます。
色覚特性、コントラスト、文字サイズは、ライトモード・ダークモードのどちらに設定していても調整することができます。
このように細かく画面表示を設定できるため、より多くの人が、自分の見え方に合わせて、見やすい環境で情報を得られるように設計されています。
表示設定の下部にある「スクリーンリーダーのレイアウト」は、VoiceOver使用時の設定で、これを有効にしていると、 アプリのホーム画面などに表示されている地図を非表示にし、文字情報のみが表示されるようになります。音声を頼りに操作している人には、地図などの不要な情報が省かれ、文字情報のみ表示されるので、読み上げがスムーズになる便利な機能だと思います。
NERV防災アプリの公式サイトによると、VoiceOverへの対応は2022年9月にリリースされたバージョンから行われているようです。
さて、NERV防災アプリの機能について簡単に紹介します。
まず、アプリを起動した際に表示される「ホーム」では、現在地と各登録地点(無料版は3地点まで登録可能)の気象情報や現在の天気、気温などを確認することができます。
このページで「現在の天気情報」をタップすると天気予報ページに移動し、より詳細な天気情報を閲覧することができます。
次に「タイムライン」です。ここでは、過去72時間に発表された気象警報や注意報、発生した地震や火山噴火情報などの気象や災害情報が、全国、現在地、各登録地点ごとに分けて一覧表示されています。
それぞれ閲覧したい地域を選択すると、選択した地域の情報を確認することができます。
続いて、「マップ」です。ここでは、現在地を含む各地域の雨雲レーダー、危険度分布、河川、台風、アメダス、雪、天気分布予報、雷、強震モニター、クライシスマッピング(災害時の生活支援情報を地図上に可視化し、ユーザー間で共有するための機能)の情報を見ることができます。
ただし、地図は画像であるため、VoiceOverでは読み上げられません。
こんな時はAIに読み上げてもらうのも一つの方法ですね。
試しにGoogle Geminiに雨雲レーダーを読ませてみました。比較的丁寧に現在地の雨雲の情報を読んでくれたので、これも情報を手に入れる一つの方法だと思いました。
最後に「天気予報」です。ここでは、全国、現在地、各登録地域の日の出・日の入り時刻、天気予報、最低・最高気温、今後24時間の降水確率、週間天気予報、天気概況が表示されています。
このようにNERV防災アプリは、個々の視力に合わせた画面設定ができ、音声での操作がスムーズに行え、アクセシビリティーに配慮された素晴らしいアプリだと思います。
天気は身近であり、災害時には命に係わる重要な情報です。だからこそ、アプリは、シンプルでわかりやすく、だれもが簡単に使えなければなりません。
天気に関するアプリは多くありますが、画面の見やすさ、読み上げ機能との相性など、課題はたくさんあります。そんな中、NERV防災アプリは、ロービジョンや視覚障がい者、色覚障がい者には非常に効果的なアプリだと思います。
NERV防災アプリのようにインクルーシブデザインのアプリが今後増えてくることを願っています。
NERV NERV防災アプリの主な画面をHTML形式で掲載しています。
ご興味のある方は下記URLをご覧ください。
http://www.itsapoot.jp/mailmaga/NERVtrial.html
【参考】
特務機関NERV防災アプリ(別ウィンドウで開きます)
特務機関NERV防災アプリ(App Store 別ウィンドウで開きます)
特務機関NERV防災(Google Play 別ウィンドウで開きます)
https://play.google.com/store/apps/details?id=app.nerv&hl=ja
本文は以上です。