ポーランドの交通事情その3
 ―ポーランドの電車について―

今回は元大阪府ITステーション職員で現在はポーランドに在住しているAさんにバリアフリーの観点から「ポーランドの交通事情」という話題でインタビューをしましたので、その内容を紹介します。 インタビューでは、「ポーランドの道路事情について」「ポーランドのバス・トラム(路面電車)について」「ポーランドの電車について」という三つの話題で話を聞きました。
今回は「ポーランドの電車について」紹介します。

■ ポーランドの鉄道事情

市街地はトラム、都市間は鉄道
近距離の移動にはバスやトラムを主に利用し、街の外に出るときや中・長距離の移動に鉄道を利用するのが一般的。
長距離がメインの国鉄、中距離が中心の大手民鉄、短距離で地元に密着したローカル鉄道という構成で成り立っている。

主要鉄路は各社乗り入れ
主要な鉄路は各社共有で運行しており、便利な反面、乗り間違えれば大変なことになる。

ほとんどの駅には改札がない
ヨーロッパあるあるの一つだが、一部を除き駅改札がない。
切符なしでも列車に乗れてしまう。慌てて確認せずに違う列車に乗ってしまうこともある。その時は直ちに車掌に申し出て切符(乗車チケット)を入手する必要がある。
そうしないまま検札に遭うと、無賃はもちろん、乗り違えでも罰金対象なので、こちらの方が厳しい。

 

車掌さん
後ろ姿で分かりにくいが、車掌さん。車掌の業務はなかなか大変。切符(乗車チケット)の発行や乗降の安全確認、車内点検・検札と多岐にわたる。

 

切符(乗車チケット)の自動券売機
駅には券売機もあるが、同じ路線内に複数の鉄道会社の電車が乗り入れているため、非常に複雑でわかりづらい。

 

切符(乗車チケット)
左はインターネットで購入したチケット。プリンターでA4用紙に印字して、検札はQRコードを読み取る。右は車内で車掌から購入した切符(乗車チケット)。

 

駅構内の切符売り場
インターネットで事前に購入していない人は、駅構内の切符売り場で切符(乗車チケット)を購入する。購入に列をなすこともある。

 

大きな駅などではカウンター方式のおしゃれな切符売り場であったりする。

 

■ 駅のバリアフリー

エレベーターや階段
大きい駅のホームに向かうには階段が必要となってくる。階段の前に警告の点字ブロックが設置されている。
また、最近はエレベーター設置も進んでいる。

 

構内通路
各ホームへの通路の一例。右手壁前に警告の点字ブロックがあるのは、壁への衝突防止のためと思われるが、副次的に誘導の役目も担っている。

 

構内電光掲示板
通路の案内として各ホームの入線予定の列車の行き先表示が電光掲示されている。



天井にピクトグラム案内板
通路の天井にピクトグラム(図形を用いた意味記号)案内板も掲示されている。

 

構内のキオスク
構内にお菓子や軽食、雑誌などを売っているキオスクがある。ただし、障がい者向けの配慮は見受けられない。

 

構内待合室の入り口
待合所はあるが、そこに行くまでの通路には、いろいろな障害物となりうるものが壁沿いに置かれており、視覚障がい者への配慮はされていない。

 

点字の触地図を設置
点字の触地図案内板が設置されていた。

 

ホームの様子
各ホームには安全地帯端を示すように警告の点字ブロックが設置されている。

 

ところが、その警告の点字ブロックを信用して、うっかりブロック沿いに縦走すると、突然駅舎の柱が立ちふさぐこともあるので、要注意。あくまでも線路に向かっての警告なのだ。
日本では警告の点字ブロックのホーム内側(安全)側に誘導の点字ブロックがあったりするので、柱に直撃ということは少ないが、やはりホームでの行動には注意が必要だ。

 

■ 車両の様子

車体に優先座席のマーク
優先座席の付近は外からわかるよう車体にマークが入っている。

 

通常はホームから床までの間に段差がある
通常の車両では、ホーム=入り口から車両内の床面までに車輪分の段差があり、その分をステップで上がる構造になっている。

 

最新車両はノンステップタイプも
最近の車両は、ホームに対してノンステップで乗降できるタイプもある。
これなら、車いすも乗降できる。

 

自転車をそのまま載せられる車両もあります。
自転車を輪行(分解してコンパクトな袋に収め手荷物として携行)するのではなく、そのまま電車に載せて移動が可能な車両もある。

 

長距離ではおなじみのコンパートメント
ヨーロッパの長距離移動といえば、コンパートメント。個室で、ゆったりと過ごす旅行は思い出に繋がってゆく。





コンパートメント内の座席。大振りのシートに厚いクッションで、快適に過ごせるようになっている。

 

座席の様子
比較的ゆったりとした座席となっている。












トイレの様子
手すりもあり、使い勝手を重視したつくりとなっている。

 

 

(参考)ポーランドの鉄道の動画

ここからは、ポーランドの駅近くの車窓を某有名テレビ番組風にご覧いただく。まずは、近郊駅の様子、開発中のところや中世期然とした教会のたたずまいが映っている。(画像が不自然にブレるところがありますが、カメラのオート機能によるものです。ご了承ください。)

音声による動画解説はこちら。MP3ファイル 1599KB

 

ワルシャワ近郊の都市部の様子。ビルや高架道路など街のつくりの違いをご覧あれ。

音声による動画解説はこちら。MP3ファイル 893KB

 

電車ではないが、のんびりした景色を一つ。東部の都市ザモシチを走るディーゼル機関車。ひばりの鳴く田園地帯を汽笛を鳴らしながら疾走している。

 


「ポーランドのバス・トラムについて」はこちら  

 

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