今回はLED付き音響装置信号を制作している篠原電機株式会社の担当者兼崎暁美(かねさき・あけみ)さんと最新のLED付き音響装置信号のある味原町交差点と上本町6丁目交差点を歩いてみました。
大阪府内では、令和6年度末現在、1,670か所(大阪府警のホームページより)に音の出る信号機が設置されています。そのうち、18か所で篠原電機のLED付き音響装置信号が設置されており、その中の3か所には、信号が青になると振動するタイプが設置されています。なお、LED付き音響装置信号が設置されていない箇所にある音の出る信号機は、信号が青になったときに音を鳴らす「音響ポール」が設置されています。
篠原電機株式会社は、1961年に大阪で創業した電気メーカーです。配電盤・制御盤機材などの販売、データセンターソリューション事業、鉄道・交通信号機材の開発・販売など、幅広い事業を展開しています。
LED付き音響装置信号は、交差点の角に高さ120cmの円柱型で1つにまとめられた信号機が、ポールのように地面から直接立っています。この中に、LEDの信号表示、音響信号停止時間帯に1度だけ音声が流れる視覚障がい者用押しボタン、音響スピーカー、振動板、点字付き方角表示が一つにまとめられています。
その特徴は
① 車いすユーザーや子どもが押しやすいように低い位置に押しボタンを設置
② 音響ポールの上部に交差点の十字の凹凸を付け、音が鳴ったら進む方向を矢印で示すデザインの導入
③ 高さ1mの位置に音響スピーカーを設置することで、音を頼りに交差点をわたる方への音の聞き取りやすさを実現
にあるそうです。
「弊社のLED付き音響装置信号は、歩行者信号機と直接つながっているので、常に正しい情報を伝えることができます。また、子ども、自転車利用者、高齢者、車いすユーザーなど、目線の位置が低い人でも目線を上げずに信号の色が見分けられるように音響ポールにLEDの信号がついています。これにより、歩行者が巻き込まれる交通事故の件数が減少しているそうです。赤がシカク、青がマルで表示されているので、色の識別が難しい方にも安心して交差点をわたっていただけるように設計しています。」(兼崎さん)
実際に兼崎さんと味原町交差点を渡ってみました。
この交差点の北西角から南西角、南西角から南東角、南東角から北東角、北東角から北西角とぐるっと一周しました。
すると、一つの交差点でそれぞれ違いがありました。
まず、北西角から南西角への横断歩道は計6車線分の広い道路にかかっていて、途中に中央分離帯があります。しかし、エスコートゾーン(点字ブロック)はありません。
遠いため向こう岸の音響が聞き取りづらく、方向を誤って車に近づく形になってしまいました。兼崎さんが教えてくれたので、かろうじて中央分離帯上の安全地帯に辿りつきましたが、一瞬、向こう側に着いた着いたものと錯覚して、危うく車道に歩き出すところでした。これまた兼崎さんに教えてもらい、事なきを得ましたが、初めて行く所にはいろいろな落とし穴があると思いました。この様子は動画1でご覧になれます。
南西角から南東角への横断歩道は一方通行1車線のところにかかっています。エスコートゾーンなしでも、すんなりと渡れましたが、この角だけはポールが埋め込みではなく、信号柱に取り付けられた抱え込み型といわれるタイプで白杖ですぐに認知することができませんでした。
歩行者信号に直結することで同期をとっている仕組み上、止むをえないのですが、信号柱の点検ボックスのため他よりも高い位置に設置されているのも気になりました。動画2で確認いただけます。
南東角から北東角への横断歩道は北西角から南西角の対面にあたり計6車線分の広い道路にかかっています。こちらにも中央分離帯がありますが、エスコートゾーンがあり比較的にスムースに歩くことができました。しかし、青信号が点滅になると音響が止まってしまい、分離帯を越えていたので渡れるとふんだのですが、実際には3、4歩前で赤信号に変わっていたそうです。うーん、残念。
この場合、中央分離帯に戻るべきだったのでしょうが、青信号の時間帯が分からず、 また中央分離帯上の安全地帯の位置も広さも判別できないため、判断に迷います。この様子は動画3でご覧いただけます。
北東角から北西角への横断歩道は、対向1車線の広さでエスコートゾーンもあります。歩道も広くて、歩きやすそうな横断歩道ですが、横断歩道前の警告点字ブロックの端からLED付き音響装置信号までの間が1メートル以上空いて白杖で確認することが難しかったと感じました。LED付き音響装置信号は横断歩道の端にあり、警告ブロックはエスコートゾーンとの兼ね合いもあり、横断歩道の端まで広げることは難しいことは重々承知の上ですが、何とかならないものでしょうか。
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味原町長交差点の近くの上本町六丁目交差点は、味原町交差点より先にLED付き音響装置信号が設置された交差点です。味原交差点との違いは、頭頂部の振動信号が採用されていない点です。設置当時は振動信号がオプションでしたが、現在は標準装備になっています。
また、道幅が広く中央分離帯に音響装置信号が設置されているのも、大きな違いです。

北東角から北西角に横断しました。この横断歩道のLED付き音響装置信号は両側とも抱え込み型でした。但し、高さは1m20cmにそろえられていて、取り付けられた信号柱が横断歩道の延長線上にあるため、あまり違和感なく認識することが出来ました。エスコートゾーンも設置されています。

北西角から南西角に向う道は上下8車線もあり、エスコートゾーンも中央分離帯も設置されています。その中央分離帯には埋め込み型の音響装置信号が設置されています。音響がはっきり聞き取れて安心して渡ることが出来ました。中央分離帯の音響装置信号は歩道側に向かってそれぞれのスピーカーがあるので、歩道と誤認する可能性はずいぶん低くなるものと思われました。やはり、中央分離帯には音響装置信号がある方がいいと感じました。
さて、肝心の音響ですが青信号の点滅時に止まってしまうので、やはり不安になります。しかし、周囲の反響音から渡れると確信し進むと、今回は青信号のうちに渡ることが出来ました。
関連ページ
篠原電機
https://www.shinohara-elec.co.jp/
篠原電機|高齢者・視覚障がい者用LED付音響装置
https://www.shinohara-elec.co.jp/products/ccat_list.php?bun=50&bcat=516
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